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シャーレンチの一次締め専用機と本締め専用機の違いや選び方について解説します

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ハンズクラフト西日本最大級の工具専門リユースショップです。

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シャーレンチは、トルシア形高力ボルト(シャーボルト)専用の締付け工具ですが、そのニッチなジャンルの工具なため、一般的な知名度は低く、また情報を探そうと思ってもそれほど多くの情報が見つからない工具の一つだったりします。

シャーレンチは主にビルの鉄骨部分の組付け作業に利用され、ニッチながら、シャーレンチの有無で作業効率に雲泥の差が出る便利な工具です。

そんなシャーレンチですが、実は「一次締め専用」と「本締め専用」の種類あり、その違いを理解しないと大きな失敗につながる危険があります。

ということで今回は、シャーレンチの一次締め専用機と本締め専用機の違いに焦点を当てて、正しい選び方について解説していきます。

ぜひ、シャーレンチ選びの参考にされてみてください。

一次締めとは

まずは一次締について簡単に解説していきます。

一次締めとは仮締め(手締め)をしたボルトに所定のトルク(力)を加えて、ボルトと部材を密着させる作業のことを言います。

本締めではないため、この段階ではまだピンテールは折れません。

そのため、一次締めには正確なトルク管理(トルクコントロール)が必要です。

次に一次締めと本締めの違いについて解説していきます。

一次締めと本締めの違いについて

本締めは一次締の次の工程のことを指し、一次締めの後にシャーボルトのピンテール部分が折れるトルク値になるまで締め付ける作業になります。

シャーボルトについて

 

トルシア形高力ボルト(シャーボルト)は通常の六角ボルトと異なり、ボルト頭が丸く、ボルトの先端にピンテールと呼ばれる突起があります。

そして、ピンテールは規定トルク値に到達するとねじ切れ、本体部分から切り離されます。この切り離された状態が適正なトルク値になっていることを表し、一目で適正なトルク値だと分かる仕組みになっています。

この仕組によってボルトの締め忘れを防ぐことができ、適切なトルク管理が行えます。

出典元:ハンズクラフト「シャーレンチとインパクトレンチとシャーランナーの違いや使い分けについて解説」より

トルシア形高力ボルト(シャーボルト)はビルの鉄骨部分の組付け作業に利用される、使用用途が限定的で特殊なボルトのことを指します。

前述したとおり、規定トルク値で締め付けるとピンテール部分が折れ、目視で適切なトルクで取り付けできていることが分かる仕組みになっています。

そして、一次締めはトルシア形高力ボルト(シャーボルト)のピンテール部分が折れない程度のトルクで取り付け作業をおこない、本締めはピンテール部分が折れるトルク値で取り付け作業を行う違いがあります。

分かりやすく例えるなら、タイヤ交換時の仮締めと本締めのような違いだと思います。

厳密に言えば、仮締めの後に一次締めを行いますので少し違うような気もしますが、平たく言えば、徐々に力を強めていって力の偏りを無くしていく作業になります。

そして、一次締めと本締めの違いを一言で言うなら、締め付け具合の違いだと思います。

 

では、一次締めと本締めの違いについて理解したところで、「なぜ、一次締めが必要なのか?」についてご説明していきます。

一次締めの必要性について

高力ボルトはナットを締め付けることで、軸部に張力を発生させて部品同士を結着させる仕組みとなっています。

そのため、張力を均等に分散させないと偏りが生じ、うまく部品同士を結着させることができません。

ですので、何段階かに分けて力を強めて締め付けていく必要があります。

そして、その1段階目の取り付けが一次締めに当たります。

本締め前にボルトと部材(部品)を完全に密着させることで、ズレや隙間などを防ぎ、本締めでもしっかりとボルトの結着作業を行えるようになります。

だからこそ、一次締めは必要な工程だと言われています。

ちなみに、現場によっては仮締めを手締めで行ってから一次締めに入る場合もありますので、作業の仕方によっては最大で4段階に分けて取り付け作業をおこなう場合もあります。

では、一次締めと本締めの違いなどについて理解したところで、本題である「シャーレンチの一次締め専用機と本締め専用機の違い」について解説していきます。

シャーレンチの一次締め専用機と本締め専用機の違い

シャーレンチには、一次締め専用と本締め専用の2種類が存在します。

一次締め専用機と本締め専用機の見た目に大きな違いが無いため、とくにインターネットで購入する場合には注意が必要です。

基本的には使用できる作業の違いが挙げられ、一次締め専用機は一次締めの範囲で使用し、本締め専用機は、本締め作業を行う場合にのみ利用できます。

両機種の大きな違いとしては、使用する作業(工程)が異なる点が挙げられます。

一次締め専用機で本締めは行える?本締め専用機の場合は?

一次締め専用機と本締め専用機は用途が完全に分かれていますので、基本的には別工程での使用はできません。

ですので、一次締め専用機で本締め作業を行ったり、一次締め作業で本締め専用機を使用するのは基本的にはできませんし、メーカー非推奨の使い方となりますので、事故などにつながる危険があります。

ですので、予算的に両方の機種を揃えることが難しい場合は、どちらかの工程を手作業でカバーする必要があります。

シャーレンチの形状の種類と特徴について

次に、シャーレンチの形状の種類とそれぞれの特徴について解説していきます。

基本的には、シャーレンチの形状は「スタンダード」「グリップ回転式」「外付けタイプ」「コーナー用」「極短用」の5種類に分けられます。

スタンダード

スタンダードタイプの、一般的な形状のシャーレンチです。

グリップ回転式

グリップ部分が回転するので、真上や真下など様々な角度から締付作業することが可能となります。

外付けタイプ

電動ドライバードリルに取り付けて使用できる外付けシャーレンチです。電源がない場所や、コードレスシャーレンチがない場合など幅広い場面で使えます。

コーナー用

狭い場所の締付作業に向いたスリムな本体のシャーレンチとなります。

極短用

橋梁などのUリブ部やトラス部の集合箇所など、スリムタイプでも作業がしにくい狭まった場所の締付作業に使われます。

シャーレンチの選び方について

ここまでシャーレンチに関わる知識を理解したところで、次のシャーレンチ本体の選び方について解説していきます。

ボルトのサイズ

シャーレンチを選ぶには、まず締め付けるボルトのサイズを確認することが大切です。どんなサイズのボルトを締めるのか、それに合ったシャーレンチをまず選びます。サイズが合わなければ、元も子もありません。

必要トルク

次にモーターの力の大きさや、トルクの力はどれくらいなのか確認して下さい。

シャーレンチを使用される方は建築や工場など業務上使用される方が多いので、仕事を効率的に行なうことができるパワーや効率性が求められるからです。

サイズ

ハンドルの大きさ、持ちやすさ、重さなどもとても重要です。パワフルでもとても重かったり、ハンドルが握りにくかったりすれば、はかどる仕事も困難になってしまうことでしょう。

つなぎコードを使用しても締め付けするスピードやパワーが落ちないこと、ハンドルが滑りにくく握り易いこと、続けて業務を行なっても負担にならないような重量であることも確認してください。

このように無条件に高価な物が良いのではなく、締め付けするボルトに合ったサイズとパワー、重量などを確認して、ハンドルが滑らず握り易いことも確かめてからシャーレンチを選択することをお勧めします。

ソケットのサイズ

シャーレンチは、製品によって適合するボルトサイズが異なります。主に使われているのは、M16・20・22・24・27・30のサイズです。

サイズによって規定トルクの値が異なります。また、高力ボルトのほかに、日鉄ボルテン株式会社の開発した「超高力ボルト」の規格もあります。

シャーレンチのスペック表にはかならず対応する規格が記載されているので、くれぐれも間違えないようにしてください。

電源式/充電式

すでに述べた通り、ハイパワーを必要とするシャーレンチは電源コード式(AC100V・200V)の製品が大半を占めます。

ただしメーカーの企業努力により、最近になって充電式の製品も登場するようになりました。国内メーカーでは、TONEやマキタが充電式モデルをラインナップに加えています。

多くの電動工具がそうであるように、充電式の利点として、コードが邪魔にならず取り回しに優れている点、漏電や電圧降下の心配がない点が挙げられます。

一方で、つねにバッテリー残量を気にしなくてはいけない点は、充電式の短所といえるでしょう。

本体の形状

シャーレンチの本体形状にも、複数の種類があります。それぞれに適した用途があります。

スタンダード型は、通常のインパクトレンチと同じように、大きなグリップを握って作業します。コーナー型は、ボディがL字に曲がっており、狭い箇所でも作業を行えるようになっています。

また、グリップが180°回転するタイプもあります。これはナットを真下から締め上げる「かちあげ作業」のために設計されています。

シャーレンチのおすすめメーカーと特徴について

最後にシャーレンチを買うならオススメしたいメーカーの一覧と、それぞれの特徴についてご紹介したいと思います。

TONE

TONEはSUPER GTやD1グランプリ、鈴鹿8時間耐久レースなどのスポンサーで有名です。

TONEは1938年に日本で初めてソケットレンチを製造し、プロ用作業工具から、トルク管理機器、ボルト締結機器へとフィールドを広げ、今や製品数は4,000点を超える日本を代表する総合工具メーカーとしてプロに愛されています。

長年ビルや橋、鉄塔など鉄骨の建築物から鉄道、船、航空、宇宙分野そして自動車など様々な分野で活用され、求められる工具を生み出す、良い工具づくりに挑戦し続けている日本のブランドです。

工具といえば、材質は鋼が主ですが、多彩な工具を生み出すうちにメッキの剥げが許されない食品工場や医療分野で求められるステンレス、軽くて非磁性のチタン、またグリップ、電動工具やトルク管理機器では多様なプラスチックなど、様々な素材を適材適所で活かしています。

工具に大切なのは信頼性、耐久性、確実性そして使いやすさです。

しかし機能はもちろんデザイン性に富んだ工具であれば、置いてあるだけでカッコいいしモチベーションも上がります。

TONEは2006年にシャーレンチでグッドデザイン賞を受賞し、2014年には社員でデザインした次世代工具シリーズが再びグッドデザイン賞を受賞。

技術者のモチベーションを高めてくれるデザイン性の高さもTONEの魅力です。

マキタ

マキタは株式会社マキタが展開する電動工具ブランドで、電動工具市場の国内シェアは約60%で、日本トップの企業です。さらに世界170カ国で製品を販売し、世界の電動工具シェアは約25%となっています。

このシェア率は、ブラックアンドデッカーに次いで2位となっており、世界的なブランドに成長しています。

ちなみに、マキタの前身となる「牧田電機製作所」は、愛知県名古屋市に1915年に創業され、当初は従業員わずか4人の町工場で、モーターや変圧器などの修理販売がメインでした。

しかし、1958年に国産初の携帯用電気カンナ「モデル1000」を開発したことで、電動工具の専門メーカーへと転換していきます。

1970年代には、アメリカを中心に輸出を拡大し、大都市にサービス拠点を設立し顧客の要望にきめ細かく応えることで、少しずつ売上を伸ばしました。

その後フランスやイギリスなどにも市場を拡大し、「世界のマキタ」へと成長していきます。

マキタのコードレス工具は業界最多のラインナップで、リチウムイオンバッテリーシリーズ全体でなんと476モデルもあります。

同じバッテリーで様々な工具を使い分けることができるのです。シャーレンチだけでなく、他の工具もマキタに統一したい人には是非マキタをお勧めします。

KTC

日本を代表する工具メーカー「KTC」は京都に本社を構え、スパナやレンチを作っているメーカーです。KTCの工具と聞くと「高級ツール」というイメージが多いのではないでしょうか。

ちなみに、KTCの正式名称はKyoto Tool Co.Ltd、「京都機械工具」という会社名となっています。

創業者は海外製の工具に感銘を受け「日本で高品質な工具を作る」と決心し、トヨタ自動車の車載工具に採用されました。

世界はこの時朝鮮戦争特需で湧き、京都機械工具の業績は右肩上がりになります。その後順調に業績を伸ばし、ソケットレンチの品質が認められアメリカのフラーツール社への輸出を開始しました。

このタイミングで輸出品にはKTCを名乗るようになったのです。またKTCの工具事業の中には一般工具、プロツール、医療機器工具と多岐にわたります。

一般工具の他に医療機器工具まで作っているツールメーカーは世界でも珍しいとされています。工具のアイテム総数は12000以上、日本での工具シェアはNo.1だと言われています。

HiKOKI

Hikokiは、もともと「日立工機」というブランドでした。日立工機は、技術力に優れ「モーターの日立」と言われるほどのメーカーです。

しかし2017年に日立製作所からKKRグループへ売却され、「工機ホールディングス」と社名を変更しています。ハイコーキならではの独自技術が盛り込まれており、スペック値では計り知れない能力を発揮しています。

その技術力に惹かれ、Hikokiを愛用し続ける職人も多いです。Hikokiの強みは、独自技術と互換性・幅広い技術力を提供しているところです。

工具を数多く揃える必要が無い場合や、18Vと36Vの工具を両方使用する場合などは、バッテリーの互換性のあるHikokiがオススメです。

従来の36Vバッテリーは重量が重いのが難点でしたが、マルチボルトシリーズは小型・軽量タイプとなっています。

バッテリーを買い替えたり、工具を買い足さなくて済むので予算に限りがある場合や、あまり大きくない現場などでは頼りになります。

まとめ

今回は、シャーレンチの一次締め専用機と本締め専用機の違いに焦点を当てて、正しい選び方について解説していきました。

シャーレンチについては、まだまだ知っておきたい内容がたくさんあります。

ぜひ、関連記事も読んで参考にされてみてください。