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ネジのプラスとマイナスの違いや使い分けについて解説します

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プラスネジとマイナスネジはネジの駆動部の切り込みが違いますが、「なんでプラスとマイナスの違いがあるのだろう」なんて思ったことある方、意外と多いんじゃない出ようか。

ちなみに、プラスとマイナスネジという呼び方は日本独自のもので、海外では、プラスネジのことを「フィリップス」、マイナスネジのことを「フラット」と呼ぶようです。

そんなプラスネジとマイナスネジ。

余計にその違いが気になったのではないでしょうか。ということで今回は、意外と知られていないプラスネジとマイナスネジの違いや使い分けについて解説していきたいと思います。

ネジは私たちの生活に馴染み深い道具ですので、ぜひ、この記事を読んでいつか役立つその時の参考にされてみて下さい。

プラスネジとマイナスネジの違い

マイナスネジはプラスネジの生産量から考えると1割ほどしか流通していないと言われています。

ではなぜ、プラスネジとマイナスネジの両方を生産する必要があるのでしょうか。その秘密は、プラスネジとマイナスネジの「汚れやすさ」にありました。

プラスネジとマイナスネジの汚れやすさの違いについて

では、なぜプラスとマイナスの形状の違いで「汚れやすさ」に差があるのでしょうか。

実はプラスネジの場合は、ネジの駆動部に十字が窪み(へこみ)となっていますので、水や汚れが付着するとプラス部分に汚れが溜まってしまいサビや腐食の原因につながるというデメリットが存在します。

また、プラスネジはその特性上、プラス部分の溝に力が集中しやすくマイナスネジよりもネジの駆動部が潰れやすいというデメリットもあります。

しかしマイナスネジであればネジの溝は直線のため、構造上、溝に水や汚れ溜まりづらく腐食やサビに強いと言われています。

こうした理由からマイナスネジは生産数自体は少ないならも、これまで多くの数が作られてきました。

 

では、皆さんは「プラスネジとマイナスネジ」、どちらが先に作られたかご存知でしょうか。

ネジのことを知れば、これまで見てきた世界がまた、違った見方に変わります。

ぜひ、プラスネジとマイナスネジの歴史についても読んでみて下さい。

プラスネジとマイナスネジの歴史

ネジの歴史は古く、1920年よりも前だと言われています。

そして、その当時主流だったネジがマイナスネジでした。

1920年代は、皆さんもご存知の精密腕時計が作られ始めた時代です。その当時はまだプラスネジが存在せず、すべてのパーツをつなぐ道具としてマイナスネジが使用されていました。

高級腕時計は、その精密さと制作の難しさが価値に反映されています。そして、そんな高級腕時計は、世界中にコレクターが点在し、多くの愛用者がいます。

一見すると関係のないような話に感じるかと思いますが、実は、現在もマイナスネジが存在している理由のひとつに「高級腕時計の製法を守るため」だと言われているんです。

腕時計は1920年代から作られ始めましたが、当時から続く老舗メーカーの中には、昔ながらの技術を使用して高級腕時計を製造し続けています。

高級腕時計は高級感やデザインなどに重きを置いているので、デザイン的にもプラスネジよりもマイナスネジが採用されることがほとんどです。

そうした理由から、プラスネジは一部の製品の中では重宝されてきました。

プラスネジの歴史について

一方、プラスネジはマイナスネジよりも後から誕生したネジです。

プラスネジはネジの駆動部に「プラスの切り込みの溝」を削ることで作ります。そのため、マイナスネジよりも製造コストは高く、十字穴を成形するために手間がかかることから、ゼネラルモーターズ(自動車メーカー)に利用されるまではマイナスネジのほうが主流でした。

マイナスネジは非常にナメやすい(滑りやすい、空回りしやすい)というデメリットが存在します。

そのため大量生産には向かず、よりナメづらい形状のプラスネジが考案されました。

プラスネジの誕生は、大量生産の現場にとっては革新的な技術で、現在では自動車メーカーをはじめとする多くの製造現場の中で利用されています。

ちなみに、プラスネジを日本に初めて持ち込んだのが、ホンダの創設者である本田宗一郎さんだと言われています。

プラスネジとマイナスネジが使われる場所

では、プラスネジとマイナスネジが使われる製品や場所についてご存知でしょうか。さきほど、マイナスネジはナメやすく、プラスネジは汚れに弱いとお伝えしてきました。

ということは、それぞれの特性を活かした場面で適切な使い分けがされているはずです。

ということでこの項目では、プラスネジとマイナスネジが利用されている場所についてまとめてみたいと思います。

プラスネジがよく使われている場所や製品

プラスネジはありとあらゆる製品に利用されています。

具体的な例を挙げると、家庭用電化製品やパソコン、車やバイクにトラックや飛行機まで、乗り物から構築物など様々です。

またプラスネジは、人間の体の中にも利用されます。

体内で使われるために開発された骨で作られた骨ネジがその例です。

さらに、宇宙に向けて発射されるロケットなどの部品としても採用されている、軽くて丈夫な素材のチタン製のネジもプラスネジが採用されています。

マイナスネジがよく使われている場所や製品

基本的には、プラスネジを使いたくない場所でマイナスネジが使用されます。

具体的な例としては、風呂場などの水回りや庭に置かれている屋外灯などが挙げられ、街中では、電車の乗降口の床部分に利用されているようです。

あとは、ミシンの針板部分や高級腕時計、オーディオ機器やアンティーク家具、楽器などにもマイナスネジは使用されます。

プラスネジとマイナスネジのメリットとデメリット

プラスネジとマイナスネジには、それぞれ強みと弱みが存在するとお伝えしてきました。

この項目では、それぞれのメリット・デメリットに焦点を当てて解説してきいたいと思います。

プラスネジのメリット:ナメづらい

プラスネジの最大のメリットは、そのナメづらさが挙げられます。

プラスネジには、「十字穴」と「フィリップス型」という種類が存在しますが、基本的にはネジの駆動部の溝とドライバーの先端を合わせた際に、「ドライバーの回転軸からネジへ真っ直ぐ力を加えることが出来るよう」設計されています。

そのため、カムアウト(ナメづらい)しづらく、マイナスネジよりもねじ回しの作業効率が高いです。

こうした点からプラスネジは汎用性が高く、さまざまな場面で使用されています。

プラスネジのデメリット:汚れやすく、ネジ穴が潰れやすい

プラスネジは溝に水やホコリなどが溜まりやすく、構造上、錆びやすい性質をもっています。錆びてしまうとネジ本体の腐食へと繋がり、耐久性が落ちることで、ネジ穴がつぶれる原因になります。

また、プラスネジは使い続けることでネジ穴が潰れやすくなるデメリットも存在します。マイナスネジのように力が分散しづらく、ナメづらくなる代わりに耐久力を犠牲にした特徴を持ちます。

ネジ穴が潰れてしまうと取り外すことが難しく、取り除く手間もかかりますので、過酷な環境化ではマイナスネジのほうが採用率が上がります。

次にマイナスネジのメリットとデメリットにも目を向けてみましょう。

マイナスネジのメリット:汚れづらく、ネジ穴が潰れづらい

マイナスネジのメリットは「汚れづらく、何度もネイを締めてもネジ穴が潰れづらい」という点が挙げられます。

マイナスネジはその構造上、水やゴミが溜まりやすいという欠点はありません。万が一、水やゴミが溝に落ちて溝に沿って外へ流れ去っていき、ゴミが入り込んでも爪楊枝やドライバーで溝をなぞるだけで簡単に外へ引っ張り出す事ができます。

そのため、普段より人の手が届きづらい場所や汚れやすい場所で利用されやすく、とくに水回りにおいては、マイナスネジが使われていることがほとんどです。

またプラスネジに比べて、力が分散しやすい構造になっていますので、何度もネジを締め付けたり、強い力(トルク)で締め付けてもネジ穴が潰れづらい特徴を持ちます。

ですので、何度も取り外すことを前提に設計された製品などでは、マイナスネジが採用されていることがよくあります。

皆さんの身近な製品の中でも、マイナスネジが利用されている部分があると思いますので、ぜひ、探してみて下さい。

マイナスネジのデメリット:ナメやすい

マイナスネジは、プラスネジと比べてドライバーの相性が実はあまり良くありません。

マイナスネジはその構造上、溝とドライバーの先端がズレやすく、プラスのネジ穴に比べると「非常にナメやすい」という欠点を持ちます。

そのため、インパクトドライバーなどの電動工具を利用したねじ回しの場面では、マイナスネジのナメやすさは「効率が悪い」と考えられ、とくに大量生産される製品の部品としては、あまり採用されていません。

作業効率を重視される現場では、このナメやすいという特性が効率の悪さに繋がりますので、プラスネジが採用されていることがほとんどです。

プラスネジとマイナスネジの使い分けや得意な作業などについて

プラスネジはどんな作業にも適している、万能型のネジです。

ネジの駆動部の溝とドライバーの先端を合わせた際、自然とドライバーの回転軸からネジへまっすぐ力を加える事ができるため、作業性に優れています。

そのため、インパクトドライバーなどの高速回転や高トルクでの締付け作業に使用しても綺麗に締め上げることができ、取り付け箇所が多いほどプラスネジの良さが際立ちます。

一方、マイナスネジを使用する方が良い場面や作業としては、「水やゴミが溜まりやすい環境」や「何度も取り外すことが前提の場所」という条件に当てはまるものになります。

具体的には、水回りに関わる製品(止水栓や水栓部品)や電気メーターの取り付け用などが挙げられます。

マイナスネジは水がかかっても溝に沿って外へ流れていくので、濡れやすい場所や汚れやすい所に設置する製品などの取り付け作業に向いています。

また、ネジ穴が潰れにくい特性をもっていますので、ドライバーが差し込みにくい場所の取り付け作業にも最適です。

まとめ

今回は、プラスネジとマイナスネジの違いやメリット・デメリット、使い分けなどについて解説してきました。

ネジは奥が深く、ネジの向きやネジ山の種類、全ねじと半ねじなど、様々な違いや前提知識が必要な道具だったりします。

これらの知識については、別記事として関連記事にまとめていますので、ぜひ、参考にされてみて下さい。