インパクトドライバーとインパクトレンチの違いについて解説します
目次
ハンズクラフト西日本最大級の工具専門リユースショップです。
ハンズクラフト【工具専門】西日本最大級の総合リユースショップです。
当店は創業20年以上、工具・家電を中心に扱うリユース専門館です。お買取りした中古品を綺麗にメンテナンスして新たな価値を吹き込み、福岡・北九州地域を中心に沖縄や山口・広島まで12店舗を展開中です。各記事は工具専門のスタッフや、工具・家電の修理専門部門が監修・執筆しています。
初めて電動工具の購入を検討されている方の多くが、この「インパクトドライバーとインパクトレンチの違いがよく分からない」問題につまづくのではないでしょうか。
インパクトドライバーとインパクトレンチでは共通点も多く、どう使い分けるべきか戸惑う方もいるはずです。
ということで今回は、この2つの電動工具の違いについてご紹介していきたいと思います。
インパクトドライバーとインパクトレンチの特徴の違い
インパクトドライバーとインパクトレンチ、この2つの違いは何でしょうか。
まず始めに、インパクトドライバーとインパクトレンチの共通点と違いについてお話します。
インパクトドライバーとインパクトレンチの共通点と違い
共通点としては、以下のような点が挙げられます。
- ガングリップ型
- トリガーを引くと先端工具が回転する
- スイッチで正転と逆転の切り替えが可能
- 回転する方向にインパクト(打撃)を与える
- 先端工具は交換が可能
- 六角ボルトの脱着に使う先端工具を取り付けられる
このように、見た目や機能での共通点が多いため、使い分けをどうするべきか困る方も多いです。
では、この2つの電動工具の違いはどんな点が挙げられるのでしょうか。インパクトドライバーとインパクトレンチには、以下の相違点があります。
- 最大トルク(回転する力)
- 先端工具を取り付ける部分の形状
- 負荷がかかる場所の太さ
回転する力はインパクトレンチの方が強く、負荷に耐えられる形状をしています。
具体的なインパクトレンチの特徴は、以下のとおりです。
- 本体に先端工具を取り付ける四角い突起がある
- 突起の太さは1/2インチ(12.7mm)
- 先端工具を固定するピンとリングが付属している
そして、インパクトドライバーの特徴は以下のとおりです。
- 本体に先端工具を差し込む六角形の穴がある
- 先端工具の差し込み部分は太さが1/4インチ(6.35mm)
似ているようで細かい違いがあり、用途にも違いが出てきます。
では、それぞれの違いについて見ていきましょう。
インパクトドライバーとインパクトレンチの用途の違いについて
インパクトドライバーは先端工具(ビット)を付け替えることで、幅広い用途に使えます。
- ドライバービットを装着して、ネジしめや取り外しに使う
- ドリルビットを取り付け、木材や金属材に穴をあける
- 六角軸のダイアモンドカッターや研磨砥石を付ければ、切削や研磨にも使える
- ソケットビットを取り付けて、小さなボルトの脱着に使う
ドライバーという名前のとおり、メインとなる用途はネジの脱着です。その他の用途としては、補助的な機能となるため、万能なわけではありません。
反対にインパクトレンチの用途は、ボルトやナットの脱着に特化しています。
作業に合わせた先端工具(ソケット)を装着すれば、さまざまなボルトやナットへの対応が可能です。
インパクトドライバーで代用するメリットとデメリット
インパクトドライバーとインパクトレンチは、先端工具を取り付ける際の手間が異なります。
以下は、インパクトレンチに先端工具を取り付ける手順です。
- 本体の四角い突起に、先端工具をかぶせて取り付ける
- 突起の穴と、先端工具の穴を合わせる
- 付属のピンを穴に通す
- ピンが落ちないようにリングで固定する
インパクトドライバーに先端工具を取り付ける際は、ピンやリングといった固定具を装着する必要がありません。
本体の六角穴に差し込むだけなので、先端工具の交換が容易です。
そのためインパクトドライバーで代用できれば、作業スピードが格段に早くなるでしょう。
しかしインパクトドライバーの先端工具は折れやすいという欠点があります。
負荷のかかる六角軸が折れてしまうと、装着用の穴に残った軸を取るのは大変です。
つまり大きな負荷がかかる作業に使う場合だと、インパクトドライバーでの代用はおすすめできません。
インパクトドライバーとインパクトレンチ、どう使い分けるべきか
インパクトドライバーはネジしめ、インパクトレンチはボルトやナットの脱着に特化しています。しかし、どちらの工具も先端工具を付け替えることで、幅広い用途に使用可能です。
インパクトレンチには、六角軸を差し込めるアタッチメントがあります。アタッチメントにドライバービットを取り付ければ、ネジしめ作業が可能です。
またインパクトドライバーも、ソケットビットを取り付けることでボルトの脱着に使えます。どちらともネジやボルトの脱着に使えますが、万能ではありません。
インパクトレンチは回転する力が強すぎるので、ネジをしめる際は繊細な操作が必要
回転する力が強くないインパクトドライバーは、大きなボルトの脱着には向いていない
上記を踏まえると、不得意な用途には注意して使う必要があるとわかります。そのため電動工具の扱いに不慣れな方は、代用せず適切に使った方が無難です。
インパクトドライバーでタイヤ交換するのを避けたほうが良い理由
太いボルトやナットの脱着にインパクトレンチを使用すれば、打撃の力を使ってスピーディーに作業できます。
しかし、インパクトレンチはプロ用のモデルが多いので、家庭で購入するにはやや高額な価格帯です。
そのためタイヤ交換でしか使わない方の中には、DIY用のインパクトドライバーで代用したいと考える方もいらっしゃいます。ですが、あまりオススメはできません。
ここではインパクトドライバーでのタイヤ交換を推奨しない理由についてお伝えします。
タイヤ交換に使うインパクト工具はパワーが必要
自動車のタイヤを固定するホイールナットには、締め付ける強さの適正値が決まっています。
大まかな適正値の目安は、以下のとおりです。
- 普通車は90~110N・m
- 軽自動車は70~90N・m
※N・m(ニュートンメートル)はトルクを表す単位です。
上記はメーカーが公表している最大値なので、使用環境によって適正な値は異なります。走行中にナットが固く締まってしまうと、適正値を超えるパワーが必要です。
そのためタイヤ交換では、適正値よりも余裕のある工具を使います。
例えば普通車のタイヤ交換に使う場合は、最大トルク200N・m以上が目安です。インパクトレンチなら600N・mを超える製品もあり、複数あるラインナップから適正なモデルを選べます。
しかしインパクトドライバーの最大トルク値は20~180N・mです。
180N・mの製品なら適正値以上ですが、普通車のタイヤ交換に使う目安は超えていません。
適正値を守らないタイヤ交換は危険
ホイールナットを締め付ける強さの適正値は、車種によって異なります。車種ごとの適正値を守らずにタイヤを交換するのは、危険が伴うでしょう。
なぜならナットを締め付ける力が弱いと、以下の状態になる可能性があるからです。
- 装着時は固定されているので、ナットの緩みに気が付かない
- 走行中の振動でナットがさらに緩む
- ナットが外れるとホイールやタイヤも外れる
タイヤの脱落が怖いからといって、ナットの締めすぎも良くありません。ホイールナットを締めすぎると、破損に繋がる可能性があります。
- ナットを締めすぎると、軸にかかる負荷が大きくなる
- 負荷に耐えられず、ナットがねじ切れる
- ナットが破損して、ホイールやタイヤが外れる
どちらの場合も、タイヤが脱落する危険を伴っています。そのためホイールナットは、締め付ける強さの適正値が明確に決まっているのです。
※自動車の取扱説明書には適正な値が記載されています。
タイヤを交換する際は、必ず適正値を確認しておきましょう。
タイヤ交換に使えるソケットビットは希少
インパクトドライバーでタイヤを交換する場合、ホイールナットのサイズに合ったソケットビットが必要です。
一般的なソケットビットではサイズが小さく、タイヤ交換には使えません。もしナットに合うサイズのソケットビットを見つけたとしても、耐えられる負荷が低いとビットの六角軸は折れてしまいます。
ソケットビットのサイズは、対応できる直径だけではなくソケットの深さも重要です。浅いソケットのビットではきちんと力が伝わらず、負荷のかかる部分だけ削れてしまう可能性があります。
上記を踏まえたソケットビットは希少なので、見つけ出すのが大変です。
そしてホイールナットに合うソケットビットが見つかったとしても、インパクトドライバーでのタイヤ交換は推奨されていないため不安が残ります。
自己責任の作業になるので、不測の事態に対応できない方へはおすすめできません。インパクトドライバーでのタイヤ交換に不安を感じるなら、専門店でプロに交換してもらう方が良いでしょう。
インパクトドライバーでタイヤ交換する際の注意点について
インパクトドライバーでのタイヤ交換は、締め付ける力が足りないためおすすめできません。しかし補助的な役割で使えば、タイヤ交換にかかる時間の大幅な短縮が可能です。
ここではタイヤ交換でインパクトドライバーを活用する方法や、使用時の注意点をお伝えします。
指で回す代わりにインパクトドライバーを使う
始めにタイヤ交換の流れを、かんたんにご紹介します。
- ホイールナットを緩める
- 車体をジャッキアップする
- 緩めたナットを外す
- タイヤを取り外す
- 新しいタイヤに付け替える
- ホイールナットを軽く締める(仮締め)
- ジャッキを回して車体を下ろす
- 緩んでいるナットを適正値まで締める(本締め)
全て手作業で交換する場合、緩めたナットを外すのと仮締めは自分の指や手工具を使います。
手順で見ると2か所でも、全てのナットを手作業で回すのは相当な労力が必要です。
そのため「緩めたナットを外す作業」「ホイールナットを軽く締める仮締め作業」でインパクトドライバーを使えば、作業時間や労力を大幅に減らせます。
補助として指の代わりに使うだけなので、最初のしっかり締まった①のナットを緩める作業や、適正値まで締める⑧のような負荷がかかる作業には適しません。
負荷がかかる作業ではクロスレンチやトルクレンチを使い、手作業で行います。
最後の本締めに使う手工具は、設定した値に締め付けられるトルクレンチがおすすめです。
トルクレンチは締め付けが設定した値になると、カチッという音で知らせてくれます。
適正な力で締め付けることが出来るので、タイヤ交換に不慣れな方でも使いやすいです。
タイヤ交換時にインパクトドライバーを使用する際の注意点
タイヤ交換でインパクトドライバーを活用する際は、以下の点に注意して作業を行いましょう。
- インパクトドライバーを使うのは補助作業のみ
- 負荷が大きい作業には手工具を使う
- 仮締めの最初は手でナットを回す
ホイールナットの脱着は、インパクトドライバーの想定以上に負荷がかかる作業です。
インパクトドライバーに大きな負荷を与え続けると、本体やビットが疲労で壊れやすくなります。
そのため負荷がかかる作業には、クロスレンチやトルクレンチといった手工具を使いましょう。
本締めは適正な値に締められているか、確認しながら作業する必要があります。
しかしインパクトドライバーでは締め付け具合を確認できません。
また仮締めの際にいきなり電動工具を使ってしまうと、ナットを破損させてしまう可能性があります。
電動工具を使うとかんたんにナットが回っていくので、ナナメに噛み込んだ状態でもなかなか気が付きません。
できる限り仮締めの最初は手でナットを回し、真っ直ぐにはめ込んでからインパクトドライバーを使いましょう。
まとめ
今回はインパクトドライバーとインパクトレンチの違いについて、それぞれの特徴や共通点、用途の違いなどを中心にご紹介してきました。
電動工具選びには、この他にもまだまだ知っておきたい事前知識がたくさんあります。
ぜひ、その他の関連記事も読んで、工具選びの参考にされてみて下さい。
こんな記事も読まれています
関連記事
不要な工具は
ハンズクラフトへ
工具専門で20年
買取価格に自信があります!
大切な工具だからこそ、工具専門店にお任せください。