リチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリー(電池)の違いについて解説します
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皆さんは、リチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリー(電池)が同じものだと勘違いしていませんか。
実はこの両者、明確な違いが存在します。
身近に使われているスマートフォンから、最近では車にも使われているリチウムイオンバッテリー。名前を聞いたことがない、という方はあまりいないでしょう。
そのくらい身近になったリチウムイオンバッテリーは、一体どういったものなのでしょうか。そして、リチウムバッテリーとの違いは何か?気になる方も多いと思います。
ということで今回は、リチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリーの違いについて、解説していきたいと思います。
リチウムイオンバッテリーとは?
リチウムイオンバッテリー(Lithium-ion battery)は、小型電子機器から電気自動車、再生可能エネルギーシステムに至るまで、広く使用されています。
単純に充電式のバッテリーと言えば簡単なものの、そのエネルギー密度から世界中で幅広く使われるほどです。
ここでは初心者向けに、リチウムイオンバッテリーの基本的な仕組みと用途を簡単に説明します。
リチウムイオンの移動で電力を充放電:リチウムイオンバッテリーは、リチウムイオンと呼ばれる小さな粒子が重要な存在です。
このリチウムイオンが電解質と呼ばれる液体の中を移動することで、電力を蓄えたり供給したりします。
充電されるとリチウムイオンは負極(バッテリー内の一方の端)に移動し、放電されると正極(バッテリー内のもう一方の端)に移動。
このサイクルを利用し、充放電を行います。
充放電サイクルについて
リチウムイオンバッテリーは、何度も充電と放電を繰り返せる構造です。この流れを充放電サイクルと呼びます。
充電サイクルの回数は無限ではなく、使用ごとに蓄えられる容量が減少。一定値を割り込むと、バッテリーの寿命が来たと表現します。
一般的にリチウムイオンバッテリーは、数百から数千回の充放電サイクルが可能です。
用途について
リチウムイオンバッテリーは非常に軽量で、高いエネルギー密度を持ちます。例えば下記のデバイスやシステムで利用されているものです。
- スマートフォン
- ノートパソコン
- タブレット端末
- デジタルカメラ
- 電動自転車
- 電気自動車(EV)
- 太陽光発電システム
リチウムイオンバッテリーは効率的で、急速な充電が可能です。そのため現代で数多く使われる携帯電子機器には、非常に欠かせない存在となっています。
安全性について
リチウムイオンバッテリーは高エネルギー密度を持つため、適切な取り扱いが必要です。
過度の加熱や物理的な損傷、過充電、過放電はバッテリーに損傷を与える可能性があります。適切な管理を怠ると、火災や爆発のリスクが高まるでしょう。
バッテリーの安全性を保つため、制御回路や保護機能が付属しています。
簡単に言えば、リチウムイオンバッテリーは電力を蓄えて持ち歩けるバッテリーです。
しかし高密度で扱いやすく、携帯電話から電気自動車まで、多くのデバイスやシステムで使用されています。ただし安全性には注意しながら扱う必要があるでしょう。
リチウムバッテリー(電池)とは?
リチウムバッテリー(電池)は、リチウムという金属を活物質として使用する一次電池(使い切り電池)の一種です。
一次電池とは、一度使い切ったら再充電できない電池のことを指します。
リチウムバッテリーはリチウム金属を負極(アノード)に使用しており、電池内でリチウム金属が酸化反応を起こすことで電気エネルギーを生成。
以下はリチウムバッテリーに関する詳細をまとめました。
リチウムバッテリーの特徴
リチウムバッテリーの特徴は、負極にリチウム金属を用いていることです。
リチウムは非常に軽量で、元素周期表において第3周期第1族に位置。非常に反応性が高い元素です。
そのためリチウムバッテリーは、ほかの一次電池よりも高いエネルギー密度を持っています。
この高いエネルギー密度によって、一回の使用で多くの電力を供給可能です。
リチウムバッテリーは一次電池
リチウムバッテリーは一次電池であり、使い切ったあとは再充電できません。使い終わったら廃棄する必要があります。
一次電池はいわゆる乾電池なので簡単に使用でき、長期間保管してもエネルギーを保持できる便利なバッテリーです。
リチウムバッテリーのメリット
リチウムバッテリーのおもなメリットは、以下のとおりです。
高い電圧と安定性
リチウムバッテリーは高い電圧を提供し、さらに電圧が安定しています。この特性により、様々な電子機器で安定した電力供給が可能です。
とはいえ懐中電灯のような、初期電圧が高いと故障してしまう機器には使用できません。
自己放電が少ない
リチウムバッテリーは自己放電率が低いため、長期間の保管ができます。この特性により、非常時の電源確保や予備電源として役立つでしょう。
小型・軽量
リチウムバッテリーは非常にコンパクトで軽量です。一般的な乾電池と比較しても軽くなっています。
長時間使えるのに軽いなら、メリットとしては非常に大きな点と言えるでしょう。
耐低温性:有機電解液を使用しているため、低温環境でも電解液が凍結しません。バッテリーの性能が低下しにくいです。寒冷地域での使用に適しています。
ただしリチウムバッテリーはリチウムを使用しており、内部でショートが起きると発火の危険性があります。適切な取り扱いと廃棄を行ってください。
またリチウムバッテリーは充電ができないため、使い切ったあとは廃棄するしかありません。性能やコストを考慮して、適切な用途に使用することが重要です。
リチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリーの違い
リチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリーの違いがわかったところで、両者の違いは一体どういった点にあるのでしょうか。
実際のところ、両者の違いは一次電池か二次電池かの違いが大きいです。
それぞれ詳細に解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
一次電池(Primary Battery)とは
一次電池は使い切りタイプの電池で、一度使い切ったら再充電できず、廃棄されます。この種類の電池は化学反応によって電力を生成し、その後の充電が不可能です。
代表的な一次電池にはアルカリ電池、マンガン電池、亜鉛空気電池があります。
一次電池は廉価で長期間保存しても劣化が少ないため、リモコンやデジタルカメラ、時計、懐中電灯といった使い切りの電子機器に最適です。
しかし使い切るたびに新しい電池を購入する必要があるので、長期的にはコストがかかってしまうでしょう。
二次電池(Secondary Battery)
二次電池は充電して何度も使用できる、再充電可能な電池です。一度使い切っても、適切な充電手順を踏めば何度でも再使用できます。
代表的な二次電池にはリチウムイオンバッテリー、ニッケルカドミウム電池(NiCd)、ニッケル水素電池(NiMH)があります。
二次電池はおもに携帯電話やノートパソコン、電気自動車、太陽光発電といった多くのシステムで使用されているでしょう。
再充電が可能なため、繰り返し使用する必要があるデバイスに適しています。コスト削減や環境への配慮が求められる場面で重要です。
一次電池と二次電池は、使用目的や要件に応じて選択しなくてはなりません。それぞれの特性や利点を理解するのが非常に重要です。
リチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリーの違い
リチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリーは、充電できるかできないかが大きな違いです。
両方とも電池の種類ですが、それぞれ異なる特徴と使用目的を持っています。
リチウムバッテリーは一次電池として分類され、端的にお伝えすると使い切りのバッテリーです。
この種のバッテリーはマイナス極に金属リチウムを使用し、高い電圧を提供できるのが特徴。そのため大電流を必要とするデバイスに適しています。
※一般的な乾電池タイプは、互換性を考慮して1.5Vに抑制。初期電圧は1.8Vほど。
またリチウムは非常に軽量であるため、携帯性が求められる機器に向いています。一般的な電池よりも自己放電が少なく、寿命が長いので小型電子機器と相性バツグン。
対してリチウムイオンバッテリーは充電式の二次電池として分類され、非常に高い性能を持つ電池です。
このタイプのバッテリーは高い放電電圧(約3.7V)と、500回以上の充放電サイクルを持つので長寿命といえるでしょう。
リチウムイオンバッテリーは軽量でありながら高い電圧を提供するため、モバイルデバイスの軽量化に貢献しています。
またメモリー効果がない点も重要です。繰り返しの充電で容量低下が発生しにくく、自己放電も少なめ。
ただしリチウムイオンバッテリーにはいくつかの課題もあります。高性能を実現するためには希少価値の高い素材が必要で、原材料のコストが高額です。
また過充電や過放電による発熱や発火、爆発の危険性も無視できません。十分な安全対策が必要です。
そのためリチウムイオンバッテリーは個別で販売されず、デバイス内で使用される際には安全回路や管理構造が必須となります。
このようにリチウムバッテリーとリチウムイオンバッテリーは、それぞれ異なる特性を持ち、異なる用途に適しているのが分かるでしょう。
リチウムバッテリーは一回限りの使用で、安定した電力や長寿命を求める場合に適しています。
一方でリチウムイオンバッテリーは再充電可能です。高性能が求められるデバイスや、専用設計された機器に採用されています。
一般的にリチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリーは、自由に選択できるものではありません。
まとめ
今回はリチウムイオンバッテリーとリチウムバッテリー(電池)の違いについて解説してきました。
バッテリーや電池に関する知識は、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
ぜひ、その他の関連記事も読んで参考にされてみてください。
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