インパクトレンチやインパクトドライバーでタイヤ交換する際の注意点について
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タイヤ交換は、車のメンテナンスにおいて非常に重要な作業です。
特に11月から3月にかけて脱輪事故が増加する傾向があり、その原因のひとつにタイヤ交換時の作業不備に起因していると言われています。
そのため、タイヤ交換には正しい手順や知識が必要不可欠で、適切にタイヤを交換しないと、思わぬ事故やトラブルを引き起こす可能性があります。
ということで今回は、タイヤ交換時に注意すべきポイントや電動工具を使用する場合の注意点などについて解説していきたいと思います。
インパクトドライバーやインパクトレンチを使用した場合の注意点について解説していきますので、タイヤ交換を効率的におこないたいと考えている場合は、ぜひ最後まで読んで参考にされてみてください。
タイヤ交換時に気をつけないといけないこと
国土交通省によると11月から3月に脱輪事故が集中し、冬用タイヤ交換後1ヶ月以内に脱輪事故が多く発生する傾向にあると言われています。
その事故発生の原因の一つに、誤ったタイヤ交換方法も含まれています。
この章では、タイヤ交換時に気をつけないといけないことについて解説していきます。
■タイヤ交換に関する重要なこと
- ホイールナットを規定のトルクで締め付ける
- 交換後50㎞~100kmに増し締めをおこなう
- 日常的にホイールナットの緩みが無いか確認する
- 定期的な点検の実施
DIYやプロにお願いした問わず、日常的にホイールナットの確認や定期的な点検は事故を防ぐうえでは大切なポイントになります。
またDIYとして、タイヤ交換をご自身でおこなう際はかならず、トルクレンチを使用して、規定トルクで締めることが重要になります。
これらの大切なポイントを守らず、タイヤ交換後の点検を怠った結果、事故につながった事例も多いようです。
タイヤ交換の際にインパクトレンチで締めすぎるとどうなる?
一時期、SNS上でレンチに乗って締めると言う方法が流行りましたが、実は大変危険な行為だと言われています。
また、最近ではインパクトレンチを使用したタイヤ交換もDIYユーザーの間でも浸透しています。
では、規定トルク値以上で締めてしまった場合はどうなるのでしょうか。
結論からいうと、下記のような問題点が発生します。
■規定トルク以上で締めてしまった場合の問題点
- ボルトやナットの破損
- ねじ山の変形によるホイールナットの緩み
- ホイールが変形と走行中の振動や不安定さを引き起こす可能性がある
- 次回交換時にホイールナットが緩まない
- ハブボルトの損傷
- 偏心してしまう(中心点から位置がずれる)
これらの問題が発生し、スムーズにタイヤ交換が行えなくなったり、最悪の場合は脱輪などの事故へと発展していきます。
そのため、タイヤ交換は規定トルク値以上でも以下ではいけません。かならず、規定トルク値で締める必要がありますし、定期的にボルトの締めなおしが必要です。
過去には、過剰な締め付けが原因とされる事故も報道されています。
青森県の八戸自動車道で大型トラックから外れたタイヤが衝突し、作業員2人が死傷した事故で、警察はナットの緩みが事故の原因の一つになったと見て捜査していることがわかりました。
引用元:ATV公式サイト『ナットの緩み』が事故原因の1つになったとみて警察が捜査 事故現場から約2キロ離れた場所にタイヤ固定の『複数のナット』【トラック脱輪タイヤ衝突死亡事故】より
また、国土交通省の調査によると、冬季(11月から3月)にタイヤ交換後1ヶ月以内に脱輪事故が多発の原因の一因として、タイヤ交換時に適切な締め付けが行われていないこと(過剰な締め付けや不十分な点検)が挙げられています。
参考文献:国土交通省「安全な車社会のために」
ちなみに、令和5年度ではホイール・ボルトの折損等が原因で発生した大型車の車輪脱落事故は142件にものぼります。
インパクトレンチでタイヤ交換する際の注意点
次に、実際にインパクトレンチを使用する場合の注意点はたくさんありますが、とくに重要な「ソケットに関する話」と「トルクレンチに関する話」の2つに絞って解説します。
ナットサイズに合ったソケットビットが必要
実はインパクトレンチだけあっても車のタイヤ交換はおこなえません。
サイズの合ったソケットビットが必要です。
また、インパクトレンチには専用のソケットを使用する必要があります。手工具用のソケットはインパクトレンチには使用できず、使用した場合は破損やソケットが吹っ飛び、怪我のリスクもあります。
サイズのほかにも、そのソケットが耐えられるトルクの定格を確認する必要があります。
通常、ソケットには、使用可能なトルクの範囲が表示されていますので、その範囲を超えての使用はできません。そのため、この点にも注意する必要があります。
トルクレンチの必要性について
インパクトレンチで作業する場合も、必ずトルクレンチが必要となります。
理由としては簡単で、インパクトレンチだけでは「今どれくらいのトルクがかかっているか分からない」ためです。
トルクレンチは「どれくらいの力で締め付けることができるのか?」が、一目で分かる工具になります。ここで初めて使用する方が勘違いしてしまうポイントが隠されています。
それは、トルクレンチは「今、どれくらいのトルクで締めているのか?」を確認できる工具ではないという点です。
実は、トルクレンチは、「締める時にどのくらい力がかかるのか?」を測定する工具になります。
そのため、既に締め付けられた後のトルク値は測定がおこなえません。
したがって、トルクレンチを使用する際は締め付ける前に正しいトルク値を設定し、その値に達した時点で作業を終了することが重要です。
これにより、過剰な締め付けや不足を防ぎ、安全性を担保することができます。
インパクトドライバーでタイヤ交換する際の注意点
インパクトドライバーは、インパクトレンチよりも汎用性に重きを置いているため、対応できる作業とトルク不足で対応できない作業があります。
そのため、作業前に必ずお使いのインパクトドライバーの最大トルクを確認するのと、これから行う作業に必要なトルク値について把握しておくことが大切です。
また、インパクトドライバーでタイヤ交換をおこなうためには、対応するソケットビットを用意する必要があります。
ですが、このソケットビット選びも大変で、インパクトドライバー用のソケットビットは、タイヤナットに適合するサイズや深さのものが少なく、見つけるのが難しいこともよくあります。
そのため、この適切な道具を揃えられるのか?という視点も、インパクトドライバーでタイヤ交換をするうえでは大切なポイントとなります。
また、ホイールナットが外れず何度も打撃を与えているとソケットビットのビットが折れることがありますし、マキタのTW181Dでも車種によっては、力不足になる時もあります。
この傾向は、車が大型になるほど高くなりますので、とくに大型車種のオーナーさんは、インパクトレンチを購入も視野にいれることをおすすめします。
タイヤ交換の際に必要なトルク値について
車の大きさによって必要なトルク値はことなります。
この章では、車の大きさ別に目安にはなりますが、必要なトルク値について解説していきます。
軽自動車の場合
ひと昔前までは、100N・mあれば十分だと言われていましたが、現在では、軽自動車は80N・m~110N・mの範囲が適切だと言われています。
このばらつきは、軽自動車と一括りにしても様々な大きさの車種が存在するからです。
例えば、N-BOXの場合は108N・m前後、ミニキャブバンは85N・m前後、ムーブの場合は103N・m前後とメーカーや車種が変われば、必要なトルク値も異なります。
普通車の場合
普通車の場合も、軽自動車と同じく100N・mあれば十分だと言われていました。
しかし、現在では「85N・m~200N・m」と開きがあります。
具体的な例を挙げると、スイフトだと85N・m前後必要だとされており、レクサスGSだと103N・m、LSの場合は140N・m必要となります。
また、最近人気のアルファードの場合は年式によってばらつきがあり、「103N・m~140N・m」の範囲となっています。
大型トラックの場合
大型トラックの場合は、ホイールの穴の数によって必要なトルクに差があります。
そのため、「380N・m~670N・m」の範囲となっています。
具体例を挙げると、三菱ふそうのファイターの場合は、「6穴で380~420N・m、8穴で550~600N・m」となっており、ホイールの穴の数によって必要トルクに差があることが分かるかと思います。
自分の車のタイヤ交換に必要なトルク値を調べる方法
自分の車のタイヤ交換に必要なトルク値を調べる方法は、下記のとおりです。
- 取り扱い説明書を確認する
- ディーラーやメーカーに確認する
- ネットで調べる
この他にも方法はありますが、確実なのは「取り扱い説明書を確認する」「ディーラーやメーカーに確認する」の2つになります。
車両の取扱説明書には、ホイールナットの適正トルク値が記載されていることがほとんどですが、特に古い車両や特別な仕様の車両の場合、取扱説明書に記載されていない場合もあります。
そのため、説明書に記載がない場合は、ディーラーやメーカーに確認することをおすすめします。
お店で依頼したほうが良いタイヤ交換作業について
実は、タイヤ交換の難易度が高く、DIYでは難しいタイヤも存在しています。それがランフラットタイヤです。
ランフラットタイヤはパンクしても一定の距離を走行できるように設計されたタイヤのことで、タイヤがパンクしても80km/hの速度で80kmの距離を走ることができるすごいタイヤです。
タイヤ側面の剛性を強化しパンクしても形状を維持する特性があり、安全な場所への避難をすることができます。
万が一の備えとして便利なタイヤではありますが、タイヤ交換には専用の工具と技術が必要になります。
そのため、対応できないお店があったりします。
通常タイヤと比べるとランフラットタイヤはビードが強く、ビードブレイカーを使用しないとホイールからタイヤを取り外せません。
その他にも、回転させながら外す必要がありますのでタイヤチェンジャーも必要です。外し終わった後も、リムに潤滑剤を塗り、タイヤチェンジャーを使いタイヤを嵌めていきます。
この様に必要な工具もそうですし、交換に必要な技術やノウハウ、労力が必要な作業となります。
交換作業ができるお店でも通常より工賃が上乗せされるケースが多く、DIYでの交換には不向きなことが理解できるのではないかと思います。
このような理由から、ランフラットタイヤを使用されている場合はプロにお任せしたほうが良いとされています。
まとめ
今回は、タイヤ交換時に注意すべきポイントや電動工具を使用する場合の注意点などについて解説していきました。
タイヤ交換は車の安全性を確保するために欠かせない作業ですが、適切に行わなければ事故の原因となることがあります。
インパクトレンチやトルクレンチも正しく使用することで、タイヤ交換の効率を格段に良くしてくれます。
ご使用になる場合は、ホイールナットの締付トルクを守り、定期的な点検を行うことで、脱輪事故を未然に防ぐことができますのでぜひ、今回紹介した注意事項を守って、適切な作業をおこないましょう。
また、この他にも電動工具やDIYに関する知っておきたい知識は、まだまだあります。
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