電動工具用バッテリーの種類と購入前に知っておきたい基礎知識
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電動工具用バッテリーには、電圧やアンペア(容量)の違いから、バッテリーそのものの違いまであります。
今回は初めて電動工具の購入を検討している方に向けて、電動工具用バッテリーの種類と購入前に知っておきたい基礎知識についてご紹介したいと思います。
電動工具のバッテリーの種類は3種類
電動工具に使われているバッテリーは3タイプの種類に分かれます。
- ニッカドバッテリー
- ニッケル水素バッテリー
- リチウムイオンバッテリー
それぞれ特性が異なり、良し悪しがあります。ですが、最近の電動工具用のバッテリーは、プロ用・DIY用問わず、リチウムイオンバッテリーを採用しているものが多いです。
バッテリーの種類によって価格や性能の違いがあるため、電動工具を購入する前はバッテリーの仕組みの違いも確認することが大切です。
ですがその前に、絶対に知っておきたい知識がひとつあります。
メモリー効果について
バッテリーの特性を理解する上で絶対に押さえておいてほしい現象が、この「メモリー効果」です。
●メモリー効果とは
メモリー効果とは、電池を使い切らずに、充電池の容量がある状態で充放電(継ぎ足し充電)を繰り返すと、
充電池を使用中に、充電を繰り返した付近で電池電圧が一時的に低下し、機器が止まったりする現象です。
つまり、バッテリー残量が残っている状態で充電すると、バッテリーの容量が一時的に減ったようになってしまう減少のことを、メモリー効果と言います。
出典元:パナソニック公式サイト「充電式電池のメモリー効果とは?(メモリー現象とは?)」より
ニッカドバッテリーや古いタイプのニッケル水素バッテリーは、このメモリー効果の影響を強く受けます。
そのためリチウムイオンバッテリーが登場するまでは、メモリー効果を起こさないように最後まで使い切ってから充電するか、わざと放電させてから充電する必要がありました。
それでは、それぞれのバッテリーの種類について見てきましょう。
【バッテリーの種類】ニッカド・ニッケル水素・リチウムイオンの違いについて
電動工具用バッテリーには、「ニッカド・ニッケル水素・リチウムイオン」の3種類がありました。
それぞれの仕組みが異なるバッテリーはバッテリー本体の大きさが同じ場合でも、「容量や扱いやすさ・パワー」に違いがでてきます。
まずは、それぞれの違いについて確認していきましょう。
ニッカドバッテリーについて
ニッカドバッテリーは「ニッケル・カドミウム電池」という名称で、その名のとおりニッケルとカドミウムを使用しています。
「高出力」という点だけを見れば、このタイプのバッテリーが最適ですが、扱いが難しく長期使用しづらい特性を持っています。
というのも、このタイプのバッテリーは自然放電が大きく、長期間使用されない状態が続いたり、過充電などを行うとすぐ劣化してしまいます。そのため、時計やリモコンなどの電力を長く消費し続ける製品には適しません。
また、使用されているカドミウムが有害な物質となっており、「簡単に捨てられない」というデメリットも存在します。
さらに後述するメモリー効果が強く、劣化させないための管理が大変なバッテリーとなっています。
そのため現在では、より扱いやすいニッケル水素バッテリーやリチウムイオンバッテリーを採用しているメーカーがほとんどです。
ただし、下記の4点から他バッテリーよりも最適なケースもあり、現在でもホビー分野やエントリーモデル用(DIY用)電動工具のバッテリーに使われることが多いです。
- 過放電に強い
- 瞬間的なパワーがある
- 生産コストが抑えられる
- 歴史が長いので取り扱いノウハウが豊富
ニッケル水素バッテリーについて
ニッケル水素バッテリーは、名前のとおりニッケルと水素(もしくは水素化合物)を使用しています。
よく充電池(エネループや充電式エボルタなど)として利用されています。
ちなみにトヨタのハイブリッドカーである、アクアやプリウスのバッテリーは、ニッケル水素バッテリーが使用されています。
ニッケル水素バッテリーはニッカドバッテリーよりも内部抵抗が低いため、モーターのような大量の電流を必要とする製品に使用されています。
ニッケル水素バッテリーが出始めた頃は、過放電に弱い性質がありましたが、現在は過放電の影響が少ない製品も開発されています。
リチウムイオンバッテリーについて
リチウムイオンバッテリーは、スマートフォンやノートパソコン、各種モバイル機器用のバッテリーとして使われることが多く、馴染み深いバッテリーだと思います。
同じ大きさであれば、他の種類のバッテリーよりも大容量で、また安定したパワーを取り出せる仕組みとなっています。
そのため、様々な製品用バッテリーとして採用され、電動工具ではプロ用モデルのほとんどが、このリチウムイオンバッテリーを採用しています。
このリチウムイオンバッテリーの最大の魅力は、自己放電率が低く、そして、メモリー効果の影響をほとんど受けない点にあります。
つまり、継ぎ足し充電(残量が残っている状態での充電)をおこなっても残量が一時的に減ってしまうことも無く、また長期使用のしやすいバッテリーということになります。
ちなみに、それぞれのバッテリーについてざっくり説明すると
- ニッカドバッテリー:パワーがあり、安価。しかし、容量が少ない
- ニッケル水素:同サイズならニッカドバッテリーの1.5倍の容量
- リチウムイオン:「パワー・扱いやすさ・寿命」ともに最高値。しかし、高価。
という感じになります。
電動工具のバッテリーは、電圧と容量の違いもある
電動工具に使われるバッテリーは、ニッカドや水素・リチウムイオンといった仕組みの違い以外にも、2つの違いがあります。それは、電圧と容量の違いです。
バッテリーに表記されてある(V)と(Ah)は、どんな意味なのか?
バッテリーには、(V)だったり(Ah)という値が記載されています。
(V)はボルトの意味で、電圧を表し、(Ah)はアンペアアワーの意味で、容量を表す単位です。
よく「14.4V3.0Ah」や「18V6.0Ah」という表記がされています。
ちなみに、電圧(V)と容量(Ah)の意味は、以下の通り。
- 電圧:この値が高いほど、パワーが強くなる
- 容量:この値が高いほど、容量が大きくなる
電圧(V)の値が高ければパワーが強くなり、容量(Ah)の値が大きければ、より長時間作業を行うことができます。
電動工具の電圧とバッテリーの電圧が異なるものでも使用できるのか?
電動工具は基本的には、同じ電圧のバッテリーを使用しなければ、動かすことができません。
具体的に言うと、下記のような使い方が該当します。
- 18V機に14.4Vバッテリーを使用したい
- 14.4V機に18Vバッテリーを使用したい
厳密に言えば動かすことは可能ですが、電動工具の寿命を縮めるリスクや本来の性能を発揮できないなどの問題が生じます。
そのためメーカーとしても違う電圧帯のバッテリーは付かないように、装着部の形状を変え、そもそも適合しないよう工夫しています。
ただし、HiKOKIではマルチボルトバッテリーというもの存在し、こちらであれば、36V用の電動工具や18V用の電動工具にも使用可能です。
電動工具のバッテリーは、容量が異なるものでも使用できるのか?
結論から言うと、電動工具のバッテリーは、電圧が同じなら容量が違っても使用することが可能です。
具体的には下記のような使い方を指します。
- 18V機に18Vバッテリー1.5Ahを使用
- 18V機に18Vバッテリー3Ahを使用
同じ電圧の電動工具であれば、容量が違うだけのバッテリーは使い回しができますので、購入時は電圧だけではなく、容量もチェックするようにして見て下さい。
純正バッテリーと互換バッテリーについて
電動工具のバッテリーには、純正バッテリーと互換バッテリーの違いもあります。互換バッテリーはメーカーから販売されているものではなく、他社製造のバッテリーとなります。
純正バッテリーよりも安く購入することができるため、購入しようか迷われている方も多いのでは無いでしょうか。
互換バッテリーは、その価格の安さから人気がありますが、故障や事故のリスクが高まるの可能性があり、また、互換バッテリーを使用した場合の故障については、メーカー保証が受けられません。
ですので、使用する上では十分に使用時のリスクと注意が必要です。
純正バッテリーと互換バッテリーの違いについて
純正バッテリーと互換バッテリーバッテリーの最大の違いは、信頼性にあります。
純正バッテリーは製品が安全に動作するようしっかりとテストを行い、それぞれの機器に対応するように製品化されています。
対して互換バッテリーは使われているバッテリーセルの違いによって、様々なデメリットが生じます。
- 容量を偽装して販売している製品
- 安価なバッテリーセルを使用した製品
- リサイクルバッテリーを採用した製品
互換バッテリーには、容量を偽って販売している場合や品質が低いバッテリーの採用、高速充電に非対応などの問題点を抱えている場合があります。
また、リサイクルバッテリーの場合は、元々使われていたバッテリーをリフレッシュし、使用しているものが多いですので、寿命が短い場合もあります。
なぜ、互換バッテリーの使用を避けたほうが良いのか?火災や故障の原因にも
互換バッテリーを避けたほうが良い理由としては、純正バッテリーよりも取り扱いが難しい点が挙げられます。
バッテリーは思ったよりも細かい制御が必要で、少しでも充電・放電で誤差があると発火する可能性や誤作動を起こす危険性があります。
また、安価なバッテリーセルを使用しているバッテリーは、電動工具のような大きな充放電に耐えられない場合もあります。
これらの理由から、互換バッテリーは避けるべきだと言われています。
電動工具のバッテリーについて、よく聞かれること
電動工具のバッテリーは実際に使用してみると、細かい違いが疑問として出てきます。
この項目では電動工具のバッテリーについて、よく聞かれることをまとめてみました。ぜひ参考にしてください。
プロ用モデルとDIY用モデルの違いはバッテリーにも存在するのか?
プロ用モデルとDIY用モデルのバッテリーは、メーカーによって扱いが変わります。
例えば、国内大手2社であるマキタとHiKOKIなら、下記のような違いがあります。
- マキタ:プロ用とDIY用は区別されている
- HiKOKI:DIY用もプロ用も同一
つまり、マキタの場合はDIY用を購入してしまうとプロ用との互換性が無く、HiKOKIの場合は、どのモデルでも電圧が一緒であれば、使い回しが可能です。
同じメーカーの電動工具なら、全てのバッテリーを使い回せるのか?
同じメーカーの電動工具であっても、全機種に同じバッテリーを使い回せるわけではありません。
基本的には同じ電圧であれば使い回しが可能ですが、メーカーによってはDIY用モデルとプロ用モデルとでバッテリーを使い分ける必要があります。
そのため電動工具を購入する際は、今後使用する予定がある機器とのバッテリーの互換性についても確認が大切になってきます。
まとめ
今回は電動工具のバッテリーについて、「ニッカド・ニッケル水素・リチウムイオン」などの仕組みの違いから、電圧と容量、純正バッテリーと互換バッテリーなどの種類の違いを紹介してきました。
電動工具を購入する前に知っておきたい知識は、まだまだあります。ぜひ、その他の関連記事も確認して、工具選びの参考にして見て下さい。
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