ディスクグラインダーと高速切断機と丸ノコ（鉄工用、チップソーカッター）の違いは？使い分けなどについて解説

切断用の電動工具は、丸ノコ（鉄工用）や高速切断機をはじめとする代表的な切断工具から、ディスクグラインダーなどパーツを変えることで似たような機能を付け加えることができる工具まで様々存在します。

とくに初心者のうちは、ディスクグラインダーと高速切断機と丸ノコの用途の違いや使い分けがピンとこない方も多いと思います。

ということで今回は、それぞれの特徴から用途の違い、使い分けなどについて解説していきますので、これから切断工具の購入を控えている方は、ぜひ参考にされてみて下さい。

ディスクグラインダーとは

ディスクグラインダーとは、砥石（といし）を高速で回転させて研磨・研削が行える工具です。

基本的には、研磨作業と研削作業での使用がメインですが、砥石を切断砥石という種類のものへと変えることで、切断作業も可能になります。

ディスクグラインダーは、とても削る力が強いので、作業内容によっては火花が発生しますので、取り扱いには注意が必要です。

また、砥石自体がその他の切断工具と比べて小さい規格となっていますので、本体サイズもコンパクトで、片手での操作も可能です。

ただし、操作時は安全のため、両手で操作することが基本となります。

さらに、砥石を交換することで様々な金属加工やコンクリート・塗装剥がしといった幅広い作業に対応でき、その汎用性の高さから、プロ・アマ問わず、様々な現場で利用されています。

とくにDIYでは、紙やすりを使っていた作業をディスクグラインダーに変えることで、木工作業などの生産性をぐんと上げることができます。

高速切断機とは

高速切断機とは、大型の砥石を高速で回転させて対象物を切断する工具です。その多くが「据え置き型」と呼ばれる安定した場所に置いて切断作業をおこなうタイプとなっています。

高速切断機は高速回転する刃が上部についており、刃を支えるアームが台座につながっている構造ですので、切断時に対象物を台座に設置してから、刃を真っ直ぐ下ろすことで切断作業をおこないます。

束ね切りにも対応しているため、複数の金属を素早く、そして、綺麗に金属をカットすることが可能です。

主に、パイプやアングル材といった長物の切断作業に利用され、スタンドに刃を固定して作業できるため、丸ノコで恐れられている「キックバック現象」の心配も最小限に抑えられます。

丸ノコ（鉄工用）とは

丸ノコ（鉄工用）はチップソーカッターとも呼ばれ、円盤状のノコ刃を回転させて対象物を切断する工具です。木工用の丸ノコよりも、金属切断に耐えられるようなモーターの構造や本体の素材が採用されていますので、金属加工にも利用できます。

丸ノコ（鉄工用）は基本的には木材の切断作業に使われますが、チップソーカッターは、ノコ刃を専用のチップソーに変えることで、金属だけではなく、木材などの違う素材の切断作業にも利用できます。

一昔前までは切断パワーの面からAC電源タイプが主流でしたが、近年ではバッテリー性能が良くなったこともあり、高性能なバッテリー式の丸ノコが増えています。

丸ノコ（鉄工用）はその特性上、真っ直ぐ切断することを得意とします。そのため、円盤状や波線といった複雑な動きが必要な切断作業には、不向きです。

DIYでの利用の際は、「真っ直ぐ切断する作業が多いのか」それとも「複雑なカットが多いのか」をよく考える必要があります。

丸ノコ（鉄工用）は、長物の切断よりも板材の切断に向いていますので、板材を特定の大きさにカットしていく作業が多いようでしたら、丸ノコの購入をおすすめします。

そして、もし、円盤状や波線といった複雑な動きのカットもスムーズに行いたい場合は、ジグソーを使ってみてください。

ジグソーは手持ち式の電動糸ノコですので、細やかなカット作業に最適です。ジグソーも丸ノコ（鉄工用）と同じく、金属用のブレードに変えることで、金属切断が可能です。

ディスクグラインダー・高速切断機・丸ノコ（鉄工用）の用途の違い

ここまで「ディスクグラインダー」「高速切断機」「丸ノコ（鉄工用）」の特徴について解説してきました。

そして、やっと本題ですが、それぞれの電動工具には、得意な作業があります。

基本的には、どの工具も用途が似ていますが、得意作業は異なりますので、ぜひ、しっかりとその違いを理解しましょう。

【それぞれの得意な作業】

• ディスクグラインダー：対象物を研削・研磨する
• 高速切断機：長物の切断に特化
• 丸ノコ（鉄工用）：チップソーで素早く綺麗に直線カット

基本的には、上記のようにディスクグラインダーと高速切断機、丸ノコ（鉄工用）を使い分けます。

ディスクグラインダーの得意な作業

ディスクグラインダーは、金属の研磨や研削作業を得意とします。そのため、ちょっとした金属の切断なら利用できますが、長物のカットには不向きです。

理由としては、どうしても手で切断作業を行いますので、ブレが生じてしまい、思ったように真っ直ぐ切断することが難しいという理由が大きいです。

また、回転する砥石を変えることで、あらゆる素材に対応できるのが特徴ですが、切断時に削りながらカットしていくため、どうしてもバリが出やすくなります。

なめらかにカットしたい場合には、ディスクグラインダーではなく、チップソー（丸ノコ）をオススメします。

高速切断機の得意な作業

高速切断機は大径の切断砥石をスタンドに固定し、刃を下ろして切断作業をおこなう仕組みの電動工具です。

そのため、ステンレスや鋼材などの金属を正確にカットすることを得意とします。

ディスクグラインダーを大型化して台に固定させたのが高速切断機ですので、切断時にはどうしてもバリが目立ちます。

ですが、スライド丸のこのように、長物を正確に、そして安全に切断できますので、金属の切断作業には欠かせない工具になります。

ディスクグラインダーとの使い分けとしては、丸ノコとスライド丸のこと似た感じで、パイプなどの長物の金属切断作業時に高速切断機を利用します。

丸ノコ（鉄工用）が得意な作業

丸ノコ（鉄工用）は、長物の金属切断に向いています。ディスクグラインダーよりも真っ直ぐに切断することを得意とします。

高速切断機よりも低速で切断作業をおこない、また、砥石ではなく金属加工用の鋸刃（チップソー）を使用しますので、バリの発生も抑えられます。

基本的には木工用の丸ノコと同じですので、キックバック現象には注意が必要ですが、切断面がディスクグラインダーや高速切断機よりもキレイですので、利用シーンも多いと思います。

また、チップソーを変更すれば金属以外の素材も切断することができますし、高速切断機やディスクグラインダーよりも熱の発生を抑えられますので、利用場所の選択肢も広がります。

ディスクグラインダー・高速切断機・丸ノコ（鉄工用）の使い分けについて

ディスクグラインダーと高速切断機、丸ノコ（鉄工用）の使い分けは下記の通りとなっています。

• ディスクグラインダー：金属の研磨や塗装剥がし、削って整える場合や軽い切断
• 高速切断機：長物金属の切断
• 丸ノコ（鉄工用）：バリの発生を抑えた切断、火花の飛び散りを減らす、切断音を小さくする

例えば金属を削って整えたい場合、砥石を高速で回転させて作業が行えるディスクグラインダーが最適です。

表面を研磨する力が強いので、塗装剥がしにも向いています。さらに研磨力のある切断砥石をセットすれば、金属の切断も問題ありません。

ただし長物をまとめてカットする場合は、やや切断しづらくなってしまいます。また、切断後のバリの発生も目立ちますので、状況に応じて、高速切断機や丸ノコ（鉄工用）の使用を検討します。

高速切断機はスタンドに固定できるため、まとめてカットしていけるのが特徴となっています。デメリットとしては、安定して金属をカットできる反面、やや用途が限られてしまう点が挙げられます。

というのも高速切断機は本体自体が大きく、砥石も305mm以上のものが多いですので、丸ノコやディスクグラインダーと比べると、携帯性が劣り、利用シーンが限定的になってしまいます。

そして、丸ノコ（鉄工用）は、「切断面をキレイにしたい」「火花を抑えたい」「切断音を小さくしたい」という場合に活躍します。

丸ノコ（鉄工用）は、チップソーカッターとも呼ばれるように金属切断を得意とする電動工具です。ですが、用途としては、ディスクグラインダーや高速切断機とは、それほど変わらず、ただ切断する場合なら、ディスクグラインダーや高速切断機でも代用できます。

しかし、バリの発生を抑えたい場合や火花の飛び散りが問題となる現場、騒音が問題になりやすい住宅街などでの作業では、チップソーカッターを利用することで、これらの問題を解決することができます。

まとめ

今回は「ディスクグラインダーと高速切断機と丸ノコ」の違いや、使い分けなどを中心に解説してきました。

この他にも電動工具については、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。

ぜひ、関連記事も読んで参考にされてみて下さい。